シルク印刷・スクリーン印刷で「魅せる」サインをつくる株式会社トーヨー

職人が語るシルク印刷技術

「シルクのトーヨー」は
この男から始まった。

「彼がいなければ、今のトーヨーはない」。
トーヨーにシルク印刷の技術を導入し、その職人人生のすべてを技術の練磨・継承に捧げた OB職人・日下の存在を抜きにして、トーヨーのシルク印刷は語れない。
彼の背中を見て育った職人たちが今、第一線でトーヨーのプライドを引き継いでいる。

走り続けてきた職人人生

「この仕事を通して色々な出会いがあったけれど、辛かったことは思いつかないよ。」
職人歴40年を超えた現役当時の日下の言葉だ。この仕事を振り返った時に彼が思い出すのは、お客さんの要望にひたすら応え続け、そして得た信頼とやりがいだけだ。辛いことなど考える暇もなく走り続けてきた職人人生だった。「職人は幸せな仕事だよ」とつぶやく日下の目線の先には、彼が次代を託す若い職人達の背中があった。

試行錯誤の繰り返しで得たもの

寡黙な日下は、いかにも頑固な昔ながらの職人と言った第一印象を与える人だった。「師匠はいなかった。当時は全て自分で考えて、工夫して工夫して何とか自分で進んでいくしかなかったんだ。がむしゃらに実験し失敗を重ねたことがよかったのかもしれないけどね。」
若い当時自らの試行錯誤で印刷技術を身につけたことで柔軟な発想が得られるようになった。そんな折「シルク印刷」を知り、今後はこの技法の需要が増えていくだろうと直感的に感じた。
「素材や色、印刷場所を問わないシルク印刷が魅力に映ってね」その卓越した先見性はまさに職人としての勘だったといえるだろう。日下は自らシルク印刷を学びに出向し、トーヨーにその技術を持ち帰った。

次代の職人たちへ

「職人が音を上げてはいけない。できないのではなくてどのようにしたらできるのかを考えてやってきたんだ。難しいと感じてもまず取り組むことで何か解決の糸口が見えてくるもんだ」長い職人人生、ひたむきに技術を練磨し続けたからこそ、得られる自信の結晶だ。
「今のやり方とはちょっと違うのかもしれないけどね」と、いつもよりハッキリとした声で、それでもどこか寂しそうに笑った。

受け継がれるのは、
技術だけではない。

シルク印刷は、元をたどれば友禅染に由来する、非常に古くから伝わるシンプルな印刷技法であり、そのシンプルさゆえに可能性が広がると私たちは考えています。日下さんはシルク印刷の可能性に早くから目を向け、トーヨーにその技術を導入しました。

日下さんがよく口にしていたのは、「できないを言い訳にせず、できる方法を考える」という言葉です。叩き上げの職人らしい無骨な言葉ですが、トーヨーの精神そのものだと改めて感じます。

今後も銘板や看板、衣類、食器など、シルク印刷の需要はますます高まることでしょう。自分が作成したものに責任を持つこと—これが私が日下さんの仕事から学んだことであり、技術よりも先に来る職人としてのプライドです。

本社屋上でBBQをした際、日下さんが早朝から近くの中央卸売市場で魚介類を買い出しに行ってくださったことが今でも楽しい思い出として残っています(田邊)

トーヨーのシルク印刷技術